禁域―秘密の愛―【完】


その瞬間、私の今までの考えは全て変わった。

この人は…………、本当に軽い人だ。


もし、私の事を本気で好いていてくれているなら、こんなあからさまな誘いや、余裕な表情ができるわけない………。

本気で、誰かを好きな時はもっと、必死になる。


…………そう。巧が私に想いを伝えた時は本当に必死そうだったんだ。



「…………っ」

バカだ………私。結局、巧の事ばっかり思い出ししてる。

女たらしの軽い男には言い寄られるし…………。




全然…………全然意味がない。



「……綾瀬さん、どうした?急に俯いて?」

そしてなおも嘘っぽい笑顔を絶やさない、園屋さんを………私は、睨みつけた。



なんか………なんか、本当に腹が立つ。



「…………バカにしないで下さい」



そして………気が付けば私はそんな事を口走っていた。


「ーーーーは?」

「園屋物産の、次期社長だか何だか知らないですけど!そんな上辺だけのものをみて、女が簡単に男の好きなようになると思ったら大間違いなんだから!!!女の人と遊びたいだけなら、他の人選んで下さい!!あなたの表情は………人を好きだっていうものじゃない……!!バカにするのも良い加減にしてっ!!」





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