禁域―秘密の愛―【完】
すっかり、私が怪訝そうな表情をしていたのか原口部長は慌てたように
「ごめん、綾瀬。深い意味は無いぞ。俺には、嫁さんも子どももいるんだから」
「で、ですよね?」
それを聞いて安心した。
だよね、原口部長に私が口説かれてるわけがないか………。
私はホッと安心してため息をひとつついた。
園屋さんの一件があって、そんな事に敏感になっているのかな、私。
「まあ、とりあえず詳しいことは後から話すから。とりあえず7時半に会社から五駅くらいまたいだすぐそばに波元っていう居酒屋があるんだが………知ってるか?」
「はい」
「よし。なら、そこに来てくれ。近い店だと周りの目もあって、よからぬ誤解をされるかもしれないからな…………。俺も仕事終わったら直ぐに行くから、宜しく頼むよ」
そう言って、原口部長は私に微笑みかけると、直様、腹減った〜などといい食堂の方へと駆けていった。
原口部長が、昼食の時間を犠牲にしても私を食事に誘わなければならなかった理由が特に見つからないまま
「変なの………」
私は、小走りで去って行く原口部長をクビを傾げながら見つめた。