禁域―秘密の愛―【完】


「んっ………や、いやっ………!」

私は、キスから逃れようと優斗さんの舌を歯で噛んだ。

「やめて……………」

藤原さんとキスした後の唇で……………なんて、酷すぎる…………。

「バカっ…………嫌い!!あなたなんて………やっぱり、大嫌い!!!」

私は叫んだ。力強く…………叫んだ。
自分の中の動揺を………拭い去るように。

「ははっ………。大嫌い、か」

優斗さんは顔を手で押さえていた。だからその表情は読み取れない。

だけど、ふとした瞬間にはもうしっかり、私の目を見据えて…………




「………俺は、大好きだったよ。瞳」





そう、静かに………悲しげに言った。


「な、んで…………」



だからどうして………そんな顔をするの………?



「………っ!!」

これ以上、その場にいるのが耐えきれなくなり私は走り出した。


………雨が降り出した。


その雨は段々と強くなり………大雨になる。

ーーーーちょうど良かった。

雨に打たれれば………この涙も、紛れるから。

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