禁域―秘密の愛―【完】


「っ、はぁっはぁっ……」

優斗さんの姿が見えなくなると、私は呼吸を整えるためその場に立ち止まる。



ーーーーさっきの表情が、頭から離れない。






"…………俺は、大好きだったよ。瞳"





「っ、うっ…………」

涙が、止まらないーーーー…………。

嘘よ…………きっと、嘘よ。



嘘なのにーーーー…………



「どうして………」


こんなに、心が苦しいの?
こんなに、誰かに責められたような気分になるの………?






ーーーーーーーー



ーーーーそして、数日後。



「おはようございます………」

あの日の大雨で完全に体調を崩した私は、約三日ぶりの出勤となった。

就職してからは、滅多にないことだった。

「あっ、おはよう!綾瀬さん!もう体調平気なの?」

先に来ていた同僚が私に話しかけてきた。

「はい………ご心配おかけしてすみません」

「本当に?何だか顔色が悪いわよ?無理してでてきたんじゃない?」

「えっ……」

やっぱり私、そんな風に見えるのかな…………。

無事に、熱はなんとか下がったけれど………この三日間、優斗さんのことばかり考えて心は、あの時のまま止まっていた。

優斗さんの悲しげな顔が頭から離れなくて……………。







< 310 / 714 >

この作品をシェア

pagetop