禁域―秘密の愛―【完】
「…………っ」
まだ………胸の動悸が治まらない。外の空気を吸いたい。
「…………仕方が、ない」
そう思った私は田中さんに一言言ってお店の外に出た。
そして、出た後…………
「……………え?」
その入り口前で………私を待ち構えていたのは…………巧だった。
「どうして…………」
「…………あの二人は久々に会ったみたいだからな。出てきたんだ」
「そ、っか…………」
どうしよう、話が続かない。一体何を言えば…………
「…………どうだ、体調は」
すると巧が静かな口調でそう聞いてきた。
体調…………?
まさかーーーーー
「優斗の部屋にいたのは………やっぱり」
「…………俺だよ」
「っ………」
あの時…………巧は、私を抱き寄せた。あれは、私の知っている巧の温かい腕だった。
「っ、巧っ…………」
今でも私の事…………考えてくれてるの?
けれど…………
「………忘れろ、俺の事は」
その後………巧に言われたのは信じられない言葉だった。
ーーーー忘れる?
巧を忘れろというの?
それを、あなたが言うの…………?