禁域―秘密の愛―【完】
私は、そんな二人の会話を何処か遠くのことのかように聞いていた。
私は…………思っていた。これが、全て夢だったらどんなに良いかって。
ううん、巧と出会ったあの高校時代から全てをやり直せたら…………どんなに楽になれるかってーーーー。
「瞳さん、今度は二人でご飯行きましょ?同い年だし、また色々話が弾むかもしれないわ」
「…………っ、はい。こちらこそ、また…………」
「………朝香。そろそろ帰るぞ」
「巧!分かったわ。じゃあまたね、優斗君に瞳さん。特に、優斗君!瞳さん泣かせたら承知しないからね!こんなに優しくて可愛い女性なかなかいないわよ?」
「あぁ、はいはい。朝香に言われなくてもそうするよ。お前も、巧君を困らせるような事ばかりするんじゃないぞ?」
「巧は大丈夫よ?彼も凄く優しいから。じゃあまたね」
朝香さんは、そう言ってニッコリ笑うと…………巧と腕を組み去って行った。
巧は、最後まで…………何を見ても、何を聞いても…………何一つ動じなかった。