禁域―秘密の愛―【完】
「騒がしかった?」
「ううん…………平気」
巧と飛鳥さんが去った後………優斗と私は帰路に着こうとしていた。今は、車内の中だ。
「にしても、朝香のやつ…………相当、瞳のこと気に入ったみたいだな。いつも、初対面のやつにはキツくあたるんだけどな、どちらかと言うと」
「そうなんだ………」
桜庭 朝香さん…………か。
高校の時、巧と別れた原因になった人だから、どんな人かと思ってた。
けれど、明るくてさっぱりとしてて、口は少し悪そうだけど決して悪い人には見えなかった。
巧も………そんな女性だったら、朝香さんのことを好きになっても何も不思議じゃない。
私のことを忘れても…………何も不思議じゃない。
「巧君も、まさか瞳と同級生だったなんて凄い偶然だな」
「うん………」
ーーーーだけど……………
「それも………昔のことだよ。私、あまり彼の事………覚えてなくて」
私は、全く………忘れてなかった。
巧の気持ちも………一緒に過ごした時間も。口では、いくらだって嘘がつけるのに…………。