禁域―秘密の愛―【完】
巧はお皿に具材を取るとそれを口にした。
「っ、……どう……?」
私は、いくらか緊張しながらそう尋ねた。
「…………うまいな。とてもうまい。このスープは?」
「あ、それは自分で作ったんだよ。市販の鍋用のスープも美味しいけど何が入ってるか分からないし………。それなら出汁を取ってそこから自分でアレンジした方が好みの味になるし、安心でしょ?」
「そうか。やっぱり相変わらずだな、お前は」
「え…………?」
「昔から、料理がとてもうまかった。それで、その料理もとても優しい、食べる人の事を考えた良い味わいがしたんだ」
そう言って、巧は笑う。巧…………覚えててくれたの?
「覚えて、たの…………?私が料理好きな事…………」
私が思わずそう言うと…………巧は、ハッとしたように息を呑み、そしてそのお箸を持つ手をそっと止めた。
「…………勘違いするな。お前といるから、……………今まで忘れてたことを思い出しただけだ」
「…………っ」
「これからお前が料理を振る舞うのは、俺じゃなくて…………優斗さんだ。分かってるよな…………」