禁域―秘密の愛―【完】
私がそう言った途端、巧は目を見開きまるで言葉を失ったように黙り込んだ。
「…………た、くみ?」
そして、巧は椅子からそっと離れると私の横に座り、私を見つめる。
「…………ッ!!」
その瞳があまりに、切なげに私を見つめている気がして一気に胸を締め付けられる。
「っ、…………俺は…………」
ーーーーその時、だった。
再び…………インターホンが鳴った。いつの間にか時刻は20時を過ぎていた。
きっと、優斗だ……………。
「優斗だ…………」
「ああ…………」
「…………あの、巧」
「…………何だ?」
「さっき何て…………」
「おーーーーい? 瞳? いないのか?」
「あ…………」
いつまでもドアが開かない事を不思議に思ったのか優斗が扉の向こうからそう尋ねてくる。
「…………優斗さんが待ってる。早く行ってこいよ」
「…………っ、うん…………」
まだまだ…………話したいことが、伝えたいことがあったはずなのに。やっぱり私達には…………その時間は与えられていない。
私達には…………何もーーーー。
ーーーーーーーーー
「いや、驚いたな!帰ったら巧君がいて俺の部屋着を着てるなんて」
「すみません、優斗さん。ご迷惑をおかけしました」
「いや、良いよ良いよ。全く気にしてないから。あの雨に生身の身体で打たれたら辛いだろ。瞳も、巧君のことありがとう」
帰ってきた優斗は…………思った通り、巧のことを気に留めなかった。
「ご飯から食べる?優斗」
「そうだな、せっかく巧君もいるしそうするかな。おーーーー、めっちゃうまそう!」