禁域―秘密の愛―【完】
「…………っ、優斗…………!」
我慢なくなって、私は本当のことを言おうとした。だけど……………
「ん?」
優斗が私の方を振り向く。私は…………その瞬間、何も言えなくなった。
言って…………どうするの?
巧と、高校の時に恋人同士だったのは、実は私で…………優斗の従姉妹の朝香さんがそこに横から入ってきたと言うの?
それを言えば……………、何もかも壊れるのは目に見えている。
優斗に心配をさせ…………少なからずとも巧と朝香さんにも影響があることはーーーー。
「……………っ」
せっかく…………巧が長年苦労をして、築き上げたもの。
桐谷商事を立て直し、そこで働く人達の生活を守る事…………。
それを、私が潰すの?過去の出来事を優斗に全部ぶちまけて………潰すの?
ーーーー私には…………そんな権利なんてない。
そして、何より巧はもう………朝香さんといることを望んでいる。
その望みを壊す権利も………私にはない。
「どうした、瞳?」
「…………っ、何でも…………無いよ。忘れちゃった、何て言うか」
「そっか」
そう言って優斗は優しく微笑む。