禁域―秘密の愛―【完】


ーーーー思いだす。

巧は、初めてのデートの時も…………こうして、飲み物を買って来てくれた。

不器用なその優しさで私の体調を案じてくれて…………こんな風に照れながら。

「ありがとう………….。嬉しいよ」

本当に、嬉しい。あの時に………戻ったような気がして……………。

「…………ああ。じゃあ、後で」

巧はそう言うと、駅へと向かった。

「ーーーー…………美味しいし、温かい」

ただの安いミルクティーなのに。甘ったるい、ただそれだけの。

なのに、巧のジャケットに包まれて飲むと…………不思議と何倍も美味しく感じられて寒さも平気になる。

きっと…………ミルクティーとジャケットのせいじゃない。

「私が…………」

私の心がこんなにも満たされてるから…………きっと、何倍も美味しくて温かい。



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