禁域―秘密の愛―【完】
「んっ………?何?」
「…………いや、別に。言うほどの事じゃない」
巧はそう言うと正面を向いた。一体何だったんだろう…………。
「シートベルトしっかり締めろよ。出発する」
「うん!」
こうして、巧のセダンは箱根に向けて走り出した。
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先ずは、荷物を先に宿まで持っていくことにした。
セダンを駐車場に止めて、私は宿を見る。
「ーーーーわぁ!」
その宿は昔ながらの和の趣がある、とても風情がある宿だった。
まさしく桐谷家御用達といったところ。
「桐谷様、ようこそいらっしゃいました」
「…………わっ!」
宿の中に入るや否や、一斉に従業員が私達に頭を下げる。
「に、人数が多い…………」
まさか従業員総出で出迎えたんじゃないのかな…………?
「桐谷様、また私達の宿をご贔屓にして頂き大変光栄でございます」
対応をしているのは、この宿を取り締まる一番の女将さんのようだった。
こんな扱い、普通じゃされないよ…………。
「出迎えありがとうございます。今日は、突然色々と変更があり、大変だったでしょう。本当に助かりました」
「いえいえ、長年ひいきにしていただいている、桐谷様のご子息の為なら、どうってことありません」
「良かった。明日の昼過ぎには残りの2人も加わるので、宜しく頼みます」