禁域―秘密の愛―【完】
「…………っ、やだっ…………私」
電話をしている巧の後ろ姿が、滲んでくるのが分かる。このままじゃ…………巧に何も言い訳がつかなくなる。
私は、そう思い直ぐ様行動にうつした。
巧が電話をしている隙に、浴衣がある棚からそれを取り出し、鞄から替えの下着とコスメポーチもだす。
そしてーーーー
「ーーーー!! っ、おい!?」
私は………女性用の大浴場まで全力疾走した。巧が追いかけられないように…………。
「………っ、はぁっ………」
大浴場の前まで着いた私は少しだけ安心する。これなら、巧も中に入ることはない。しばらく時間稼ぎができる。
とにかく温泉に入ろう。それから色々考えるんだ。
「ごめんね、巧…………」
でも………もう、耐えられないんだ。
私は………思ってなかった。あなたとの運命がこんな形になることを。
巧には二度と会えないと………そう思った私は彼との記憶に別れを告げて、優斗だけを愛して優斗と幸せになるんだと信じて疑わなかった。