禁域―秘密の愛―【完】


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しばらくして大浴場の温泉に浸かり、少しではあるけど心が落ち着きを取り戻した私は、部屋へ帰ることにした。

結局、巧を上手くあしらえる嘘は思いつかなかった。

なら………また、"もう平気だ"と笑って何回でも誤魔化せばいい。話を反らせばいい。そう思った。

だって、今の私の想いは、巧にとって迷惑なものでしかないのだから…………。


「………ふう」

そう思いながら、私は一呼吸し、部屋の扉を思いっきり開けた。

「………ごめんね、もう平ーーーー」


…………いない。

巧の姿が見当たらなかった。どこに行ったんだろう………。

その時、ふと見つけた机上にある置き手紙。

"風呂に入ってくる。夕食は19時に持ってくるそうだ。話はしっかり聞くからな"

「うっ………」

巧………まだ、諦めて無かったんだ。意外執念深いな…………。

「………っ、でも負けないんだから」

笑顔で………笑顔で、もう平気なんだと言うんだから。何度でも。

それがきっと巧に一番迷惑をかけない方法なのだから。



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