禁域―秘密の愛―【完】
「巧………私は、巧の為に何かしてあげられることは………ない?」
「………何か?」
「そう。巧は………私の為に、全力で仕事を頑張ってくれてる。今だってこうして………不安になった私の元にきて、抱きしめてくれてる。けれど私は………何も………巧にしていない気がして」
そのことが、凄く歯痒かった。巧が一生懸命頑張るのと同時に………私は、自分の無力さを改めて痛感した。
私がこの恋のために………できることは何?
私は………私は、ただ巧のことを見ていることしかできないの?
「………っ、何だ」
けれど、巧はーーーー
「え………?」
そんなのお構いなしかのように笑って私を見ていた。
「瞳は………もう充分俺にしてくれてる」
「っ、そんなことないよ………」
「ーーーーあるって言ってるだろ?」
そう言って………巧は、ますます私を強く抱き寄せた。
「一度は………お前を手放した俺を。瞳、お前は………ずっと想っててくれた。俺達の行く先にどんなことがあろうと俺と一緒にいると言ってくれた。………それがどんなに、俺にとって。瞳と一緒にいる未来を………一度は手放した俺にとって、大切なものになったか分かるか?」