禁域―秘密の愛―【完】


啓史さんはニコリと笑う。その優しげな笑顔は、昔見た時と同じだけど………

「………それで、この可愛らしい方が優斗君の恋人?」




ーーーー怖い。




この人は………巧と私の秘密を知っているから、怖いーーーー。


「はい、そうです。俺の恋人の綾瀬 瞳です。瞳、この方は巧君の従兄弟で、桐谷商事の専務取締役をしていらっしゃる安藤 啓史さん」

「安藤 啓史です。………はじめまして、綾瀬さん」

「あっ……、はじ……めまして」

啓史さんはまるで、私に初めて会ったかのように話しかける。

そのあまりにも自然な動作に驚いたけれど………やっぱり、私はとても怖くて

「すみません、ちょっとお手洗いに………」

その場を離れたかったんだ………。



「………っ」

会場の外には待合室となっており私はとりあえずそこにいることにした。

啓史さんと、マトモに顔を合わせられない。それに巧も来るなんて…………

「はぁっ………」

………どうしよう。動悸が……治まらない。

私………こんな調子で会食会をやり通せるの………?
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