禁域―秘密の愛―【完】
「………車を変えてくる」
「えっ?」
不意に巧が走行中、そう言った。
「いつものセダンに変えてくる。この車じゃ俺達は金を持ってるからどうぞ襲ってくださいって言いフラしてるようなものだからな。今回は、朝香の好きな車がこれだから運転しただけでよっぽどの用事の時しか乗らないんだ。危険だからな………。この車に瞳をいつまでも乗せてられない」
「巧………もしかして、いつもセダンに乗ってたのって………」
巧は私といる時はいつもセダンだった。箱根の時も、星を観にドライブした時も。
セダンでも別に私は良かったけれど、巧ほどの人がなぜ高級車に乗らないのか疑問に思っていた。
その答えが今、分かった気がする。
「私の身を案じてのこと………?」
高級車を盗むのは、勿論だけどその中にいる人もお金を持っているのは間違いない。だから、必然的に犯罪に巻き込まれやすくなる………。巧はそれを思って………
その時、巧の顔が赤く染まるのを見た。
「………それ以外、何があるんだ?悪いか?」
………ううん、全く悪くないよ?
どこか……頬を染め照れたように言う巧が可愛くて思わず笑ってしまった。