禁域―秘密の愛―【完】
「………ありがとうございます」
巧の表情も、気のせいかその水越さんの言葉を聞いた途端柔らかくなった。
そんな私達の表情の変化を見た水越さんもまた、柔らかく笑い中へと私達を促した。
水越不動産の中は、至って普通のだった。扉を開け直ぐ5箇所位に2人ずつ応対できるようにブース分けされており、顧客との間は、長方形のテーブルで分けられている。
テーブルの上には、いくつかのパンフレット。そして、顧客席から向かって不動産側には大きな最新型のパソコン。
「………普通だなぁ」
「ハハッ、正直ですねぇ」
「えっ」
瑛さんは、私の方を見て笑っていた。
嘘…………今、私、呟いてた?
「ご、ご、ごめんなさい!私、悪く言ったつもりじゃなくて………!」
私は、慌てて水越さんに頭を下げた。自分の浅はかさをこんなに恨めかしく思ったことは無い。