禁域―秘密の愛―【完】
「全て終わったら………ずっと一緒に居よう」
そう言うと巧はふわりと私を包み込むように抱きしめた。
「………うん」
…………私は幸せだった。
何もかも忘れていたから。
今、私達の前に立ちはだかる問題も、私達を遮る身の回りの人たちの声も、世間の声も、何もかもーーーー忘れていたから。
とても幸せだったーーーー………。
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借りたマンションを見た私達は、水越さんにお礼と、賃貸代の支払日などの話をしその後セダンに乗り、愛ちゃん家に戻ろうと帰路を走っていた。
「………瞳」
「何?」
「関口のアパートに荷物を取りに行ったら………その足で、俺は桜庭家の元へ………朝香の元へ行く」
不意に巧が言ったその台詞に………私の心臓は、ドクンと大きな嫌な鼓動をたてたーーーー。
「な、何で………?どうして………?」
そんな事をしたら巧と私は離されるに決まっている。
巧は朝香さん、そして私は優斗の恋人であるという事実に………。
すっかり、巧が傍にいるという今に酔いしれていた私は急にそのことを思いだし、怖くなった。