禁域―秘密の愛―【完】


追い出した、って………。
私はまだここにいるのに動じずもせずによく言えるよね、朝香さん。

やっぱり、肝の座り方が尋常ではないようだ。

「追い出した………?」

「そう。あまりにも巧に会いたいというから煩くてね。けれど、巧がブラジルに行ったのだと言ったからもう二度と会えないとでも思ったのか、ここから泣きながら出て行ったけどその後は知らないわ。優斗君の所に逆に慰めを貰いにいこうとしてるんじゃない?まぁ私も今から帰ろうとしてたのだけど」

「………さようでございましたか。では彼女はもうここにはおられないと?」

「ええ。何度も言わせないでよ。それとも陶山。このあたしが言う事を信じられないとでも?」

「い、いや!滅相もございません!失礼致しました」

姿は見えないけど、陶山さんが焦っていて朝香さんの方が優勢だとはかなり想像できる。

お嬢様パワー凄まじい。

「じゃあもうここには用はないでしょ?さっさとでていきなさい。瞳さんにも逃げられちゃうわよ」

「はい。申し訳ありませんでした。朝香様、宜しければご自宅までお送り致しますが」

「いいわ。今日は本当に腹が立った日だから何かパーっと買い物をして帰るから。あ、そうだ。巧を呼んでくれる?元はと言えばあの人が浮気なんかするからこうなったのよ。だから買い物させようと思って」




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