禁域―秘密の愛―【完】

「え、桐谷様を?」

陶山さんが明らかに戸惑いの声をだす。

「………何よ?今日、巧は出張も何もなかったでしょ?今の時間だったらもう帰ってきてるじゃない」

「いや、その………」

「あぁ、もういい。やっぱり自分で巧に確認するからーーーー」

その時ーーーーだった。


「………陶山、何してる?」

また後ろから声が聞こえ………その声に私は息を呑んだ。

優斗だ………。やっぱり、優斗がここに来ていたんだ……。

「優斗様………」

「優斗君………」

「………朝香。何故お前がここに?」

明らかに訝しげに優斗は朝香さんに尋ねている。私は緊張しながら会話に耳を傾けた。

「優斗君まで。だからさっき、陶山にも話したけど綾瀬 瞳を追ってここまで来たのよ。そしたら、ブラジルに巧が行くって事思わず言っちゃって………あの女、自暴自棄になって出て行ったわよ。だからここにはもういないわ。だから私ももう帰ろうと思って。ムカつくから巧に買い物付き合わせるのよ。だから今から巧に連絡をーーーー」


「………いや、朝香。巧君に連絡をしても無駄だ」

優斗が朝香さんの声を遮りそう言った。
無駄………ってどういう事?

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