禁域―秘密の愛―【完】
「っ………」
朝香さんの悲鳴のような叫びを聴きながら、私も目の前にある事実に………驚愕し息が詰まり上手く呼吸ができない………。
しかし、優斗はそんな私の心情など知るはずも無く話を続けたーーー。
「………馬鹿だな、朝香。 思ってる訳ないだろう。ハッキリ言う。俺は巧君のビジネスマンとしての才覚は認めてる。彼は、赤字がマンネリ化していた桐谷商事をあの若さで救った。 けど………いくら、彼でも無理だ。それ程までに、アテラ社は朝香、お前の言う通り桐谷商事を恨んでいるよ。それは………何物にも代えられないだろう。 人の感情というのは、数字やグラフみたいに簡単に変えられるものじゃない」
「っ、でもおかしいわ!そんなことをしても桐谷商事にとっては何の利益にもなりはしないのよ! だって、分かってるのでしょ! 巧のしようとしてることは無駄足だと! どうしても、アテラのエネルギーを得たいのなら他に…………」
………そこで、朝香さんはハッと何かに気付いたかのように口を噤んだ。
そして、それはこの話を聴き始めてから………心の何処かで私も感じ始めていたことだった。
「…………まさか。 もう、 手を打っているの? 」