禁域―秘密の愛―【完】
飛鳥さんが優斗にそう問いかけた途端背中に心地悪い嫌な汗が伝ったーーーー。
それ以上………聞いたらいけない。
私の心のどこかで警鐘が鳴り響くーーー。
けれど残酷にも、 優斗は淡々と事実を告げた………。
「ーーーそうだ。 実は俺の大学時代に知り合った留学生ルイス・ラブーコは、アテラの第一幹部でね。そいつに言ってあるよ。………もしも、桐谷 巧が交渉しに来ても話を断固として断れと。実は今、アテラの現社長は持病を悪化させ入院している。 だから現在、最もアテラ内で力があるのはルイスだ。最終的な決定権は社長にあるが社内の派閥では圧倒的にルイス派が多い。ーーーだから、アテラ社の全ての事は彼が決められる。 けれど、俺はこうもルイスに言ったよ。 桐谷 巧の名前で桐谷商事と提携するのは断れと。………安藤 啓史の名前ならば承諾するように、って」
「そ………んな! 巧にとっては無駄足じゃない! 命の危険まで犯してまでいくのにそんな事………! しかも、啓史さんの名前で契約ですって?専務取締役の彼がそんな事をしたら次期社長の巧の立場が無いわ!」
「………だからだよ。 朝香」
「え………?」
優斗の冷たい声に朝香さんの声が演技では無く段々と震えてくる。 私の身体も全身が冷えてくる。
いや、だ………。 優斗。
これ以上、私にあなたのことを失望させないでーーーー。