禁域―秘密の愛―【完】
「………巧君には、次期社長としての面目を、ーーー最悪、その地位を失ってもらうよ」
けれど………優斗は笑ってそう言った。どこまでも、卑劣な手段で巧を陥れるというのに。 笑っていた………。
こんなの………優斗じゃない。 私の知ってる………あの優しくて、頼れる優斗じゃないーーー。
深い失望が………私の心にどんどん広がっていく………。
「優斗君………、そんな事………」
「前者は、啓史さんの望み。ーーーまぁ、俺としては正直、巧君が桐谷商事でどんな扱いを受けようがそんな事どうでもいいんだよ。………ただ、彼の妻となる俺の可愛い従姉妹の朝香の顔に泥をぬらないくらい程度になってくれればさ。桐谷 巧はバカだよ。 この交渉を成功させれば、瞳との仲を認めてやるって言ったら、行くと即答した。 そんな事………絶対にあり得ないのに。させないのに。本当にバカだ!」
優斗はそう言って高らかに笑った。その優斗の笑い声が私に暗い暗い影を段々と心に落としてくる………。
「優斗君………あなたって………」
「………朝香。 一体、何を考えている? ………巧君の事が好きなんだろ? 巧君を自分の元に置いときたいんだろ?俺に意見しようとする理由が分からないな」
「………っ」
優斗の言葉に朝香さんは口を閉ざす。 いくら、巧と私の事を納得したとは言え、朝香さんは巧の事がまだ好きだ。
何も………言える訳がない。