禁域―秘密の愛―【完】


「朝香には本当にすまないと思っている。…………桜庭家に貸りていた資金を返済する手筈は整っている。そして、今までの事業にもきちんと手は貸す。だが………俺は瞳を愛している。だから朝香とはどうしても婚約できない。それ以外のことなら何でもする。 8年も待たせておいて勝手過ぎると分かっている………けど、俺と別れて欲しい…………」


巧は申し訳なさそうに瞳を伏せ、頭を朝香さんにゆっくりと深く下げた。


巧の真っ直ぐな想いに私の心はトクンと、甘い音を上げた。 だけどそれと同時に朝香さんの立場を思うととても胸が張り裂けそうだった。

朝香さんに…………何か言ってあげたい。だけど私には………同じく巧を欲してる私にはどうすることもできない。

だから…………

「私からも…………お願いします。朝香さん…………改めて言います。本当に、本当に私は巧の事が………好きです。 ずっと、ずっと昔から好きなんです………巧だけは譲れないんです。お願いします。巧を…………私に、下さい」

今の私の気持ちを正直に改めて伝えて、巧と共に頭を深く下げることしか私は出来なかった…………。

顔を上げれない。 朝香さんの顔を………怖くて見る事が出来ない。
どんな顔をさせているか考えただけで怖い。




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