禁域―秘密の愛―【完】


「…………ちゃうわ」

「えっ?」

「…………呆れちゃうわよ、って言ってるの!」

そう少しだけ叫んだ朝香さんの顔は、涙で濡れていたけれど………、ちゃんと私達の顔を見て微笑んでいた………。

「…………巧と瞳さんがどれだけお互いを想いやってるかこうも思い知らされたら………呆れてモノも言えなくなるわ。惚気てんじゃないわよ」

「朝香さん………」

「ッ、それに! あたしはね、あたしを愛さない男との結婚だなんて真っ平ごめんよ!そんなのあたしのプライドが許さない。あたしはあたしでちゃんと、あたしをを愛してくれる男を探す。 ………こっちから、巧なんて願い下げだわ」

「朝香………それは」

「…………巧、別れて頂戴。 あたしからあなたをフッてあげる。それくらいさせてよね。………それに」


朝香さんは、そう言ってまた一筋の涙を流すと


「巧が…………良い女だって言ってくれたから、それで充分」

今までに見た事がない程、優しい顔をして巧を見ていた…………。

「ありがとう…………朝香」

「朝香さん、ありがとう………」

私達は二人で朝香さんに頭を下げた。

本当に………朝香さんは、強くて素敵な女性だ。 愛する人の別れはとても辛いのに、こうして最後、笑って私達を見ている。それは何物にも代えがたいほどに輝く笑顔だ。


朝香さん…………ありがとう




本当にありがとうーーーー






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