禁域―秘密の愛―【完】
「………そうか」
巧は全てを聞いた後ーーー、静かにそう呟いた。 思ったより大分冷静だ。
「驚かないの………?巧」
「………一応、驚いてる。まさかアテラ社の第一幹部が優斗さんの大学時代の知り合いだとは思わなかった。世間は狭いな」
「え、そこなの?」
愛ちゃんが"もっと他にあるでしょうよ"と言って不満そうな顔をして巧を見る。
「桐谷君、分かってるの? この交渉は絶対に成功しないように園屋さん達が手引きしてるのよ。だから行く必要なんてない。瞳と絶対に別れる事になるのよ?」
「愛ちゃん………」
「絶対にだって?」
「そうよ!決まってるじゃない!」
「ーーーーそんな事、あり得ない」
「え………?」
思わぬ巧の発言に、私は思わず目を見開いて彼を見つめた。
「…………要は、成功させれば問題ないんだ。アテラ社との交渉を桐谷 巧の名前で」
「もう!!だから、それが無理だってーーーー」
「無理じゃない」
「桐谷君………!瞳の事もちょっとは考えーーーー」
「無理なんかじゃない」
そう愛ちゃんに言った巧の目は、とても力強かった。