禁域―秘密の愛―【完】
「えぇ〜………。 席を譲れるものなら、譲りたいよ………。 私、あの人ちょっと苦手」
私の言動にかなり驚いたのか、愛ちゃんは食べようとしていたドーナツをポロッとお皿に落とした。
「えーーーッ!!瞳っ!あの桐谷君を嫌いなの!?マジ!?」
「嫌いっていうより、むしろ恐怖心かな………」
「んーーー。 成る程ねえ。 確かに桐谷君って、顔・頭・ 家良しで全て完璧だけどさ。クールってか、硬派なのかな?あれだけモテるのに、女の影がまったくちらつかないし」
「そうなんだよね………」
もう、怖いの何のって………。
「いや、でも」
「んっ?」
そう言えば愛ちゃんは、改めて私を見つめた。
「瞳も、もうちょっと胸張ったらどう?」
「えっ?」
「や。気を悪くしたらゴメン。けど、ほら、瞳って何か勿体ない気がするんだよね………」