禁域―秘密の愛―【完】
「なぜ、私がそんな事を思ったのか………と言いたげな顔だな。二人共」
桐谷 光は衝撃で何も言えない巧と私を見て、フと自嘲した。
「………正直言って、綾瀬君が私の課題をあそこまで完璧に近い形でこなしてくれるとは思ってなかった。こなしたとしても合格ラインギリギリだろうと。 そして、巧。お前もだ。 まさか………本当にやり遂げてみせるとはな」
「え………?」
「アテラ社のことは、やり遂げるに決まってる。 瞳が俺の傍にいてくれるかどうかかかっていたんだ」
「ウソ………、巧………?」
私は再び泣きそうになった。巧が、帰国していた時点で私は、もう何となく気付いていた。だけど………
「ウソじゃない。 瞳………、俺はアテラ社と正式に一週間前、 新エネルギーに関する契約を交わした。 それで、瞳が今日の日、コンテストに出ると言うからちょっと驚かせようと思って黙って帰ってきたんだ。
ごめんな、電話をあまり長くすると嬉しくて話をしてしまいそうで………もし話せばコンテストに出る瞳のプレッシャーにもなるだろうし。だから直ぐ電話を切ってた」
だけど………巧が私の手を再び握りしめ真剣な目でそう言った時………現実なんだと知った。
「瞳………、 お前がいたから俺は最後まで、 どんなに不利な状況であろうと………どんなに傷を身体につけようと、この契約を交わすのに命を注ぐくらい必死になれたんだ」