禁域―秘密の愛―【完】


「正解。俺は、瞳の事を………アテラ社の社長に話した」

巧のその後の話はこうだった………。

巧は、交渉を有利に進めるためにルイスでなくアテラ社の社長に話をしに行った。

アテラ社の社長は病に倒れ、入院をしていたがまだ実質、会社の最終権限は彼にあったからだ。

しかし、現アテラ社の社長は桐谷 光が会社を見切った事を深く根に持ち、その息子である巧の事を最初の一年ほどはまるで相手にしなかった。

病室に入る事は愚か、 病院の門の前で社長のボディーガードや刺客が待ち構えており、巧に暴力を加え社長に近付く事を一切拒んだ。

けれど………巧も、一切手を引かなかった。

入院を、余儀なくされた事が何度かあったものの、殆ど毎日、巧はギブスや包帯を腕や足に巻いて、社長の病院に出向いた。 そして待ち構えるボディーガードや刺客に懇願した。

" 今更、あなた方の主が桐谷 光の息子などに会いたくないのも分かっています。けれど………この契約を通さなければ、俺は愛する女性を失います。だからどうか………社長に御目通りを願いたい"




そう何度も巧は………彼らに言ったそうだ。


勿論、彼らは"嘘に決まっている" "桐谷商事の人間は薄情だからそんな情を持っている筈はない"と巧の事をまるで信じなかった。


けれど、どんなに強く暴力を振るわれても………毎日のように私の事を失うからと必死で懇願する巧に対し、段々と彼らは"もしかすれば、本当の話なのでは………"と思うようになったそうだ。

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