禁域―秘密の愛―【完】
"………なぜ、そんな事になっている? "
"彼女とは………瞳とは。 高校の時からの仲です。しかし………、 その頃、会社の将来が危ぶまれ私は、社に支援をしてく下さった政治家の孫娘である女性と婚約を前提に付き合う事になりました。………そして、彼女も私の大切に思っている男性と………付き合うようになったのです"
"驚いたね。 そんな状況でも………ヒトミを諦めなかったのか? "
"えぇ。 彼女に………恋をした日から俺にはずっと彼女だけでした。 彼女だけを深く愛してきた。 彼女もまた私と同じ想いだと分かり………彼女もとても辛かったと思いますが、お互いの恋人と別れ私はもう一度彼女と付き合い始めました。
本当に………、沢山の大切な人を傷付けた。それでも私はどうしても彼女を何年も忘れ去る事なんて出来なかったのです"
"それ程までに………君は、ヒトミを"
"………はい。心から愛しています。 そして、父は私達の想いを理解し………私達の仲を完全に認めて貰うために瞳と私に課題を出しました。 私にとってのそれが………アテラ社との交渉だったのです"
"そういう事か………"
アテラ社の社長は、それから暫く黙っていた。 しかし………不意に、巧の方を向いて
"………しかし、 あの鬼のような君の父が、愛というものを信じ始めたということは………、 タクミとヒトミのお互いを深く想う気持ちが、彼を変えたという事になるのか"
そう言って、優しく微笑んだのだそうだ…………。