禁域―秘密の愛―【完】
"………タクミ、 君は面白い男だ"
そして、社長はそう不意に巧に言った。
"………面白い、ですか?"
"あぁ。 君はすこぶる頭が良いね。ポルトガル語も完璧にマスターしているようだし、その資料もザラッと目を通したが、きちんとどこで利益が出て、尚且つユーザーが何をこれからの時代、私達が開発したエネルギーに求めるかきちんと的確な視点で書いてある。 素晴らしい資料だ。
………君は経営者として、抜群のセンスを持っているだろう。 でも、そういう経営者というのは時に人の情というのを捨てる事がある。 あまりに、組織の為、その存続の為に動きすぎてしまうからだ"
そのまま、社長は話を続けた。
"でも、タクミは違う。 君は、これ程までに経営者としての才がありながら尚且つ、人の情を持っている。それも………あの桐谷 光にその大きさを認めさせるくらいの上級のやつをね。 全く面白い"
"…………それは、瞳がいたからです。 瞳が………、私に人を愛する事のあたたかさ、大切さを教えてくれたから。 私は………何があっても人を大切に想う心を忘れないでこれたのです"
"今、私が褒めた事をなお自分の能力でなくヒトミのおかげというとはね………。 益々、面白いな。
……….よし、 タクミ。 決めさせてもらった"
"………え?"
"タクミとヒトミの愛を私も祝福したい。だから………我が社のエネルギーは桐谷商事と分かつ事にする。 アテラ エネジア社の社長として正式に契約を認めよう"