禁域―秘密の愛―【完】
「………不思議」
「え?」
「本当にまだ信じられない気分なの。巧が………ここにいるなんて。 誰も私達の事を咎め無いなんて」
「そういうことか………」
巧はそう言うと、私の手をそっと優しく包み込んだ。
「………こうしたら、少しは分かるか?俺がここにいると」
「っ、うん………」
温かい………。 確かに、巧の手の感触を感じる。 とても落ち着く。
そして、巧がいることは夢でないと思う。
「………ヤバイ。こうしてると………瞳の事を抱きしめたくなった」
そう言うと、巧は更に私を抱きしめた。
「………巧っ………」
「瞳なら………絶対に優勝する。 お前の料理は食べる人の事を真剣に考えてるから人の心を老若男女問わず温かくする。俺ももちろんその一人で………心からお前の作る料理を誇らしく、そして尊敬している。だから………絶対に大丈夫だ。胸を張って行ってこい。ちゃんとみてる」
「っ………」
巧のその言葉が私の胸深くに染み込んでいく。そして、本番前で緊張していた私の心をほぐしていくーーーー。
ああ、巧はもうちゃんといるんだね。
傍で………ちゃんと見守ってくれているんだ。
「ありがとう………巧。 私、自信を持って行ってくる」
巧の存在と、その言葉に気持ちが落ち着いた私は笑顔で巧にそう強く言った。