禁域―秘密の愛―【完】
巧と別れ、私はコンテストがあるスタジオに入った。
総勢100人近くの観客と、日本で最高級の宿で和食を担当する料理人達、そして有名な料理研究家合わせて5名が審査員となり私を含む4名の料理を審査する。
審査員の先生方は、料理を極める方の中でもプロ中のプロばかり。もちろん全員、名前を前から知っていた。
いつもの私なら、彼らを前に緊張し過ぎて普段通りに動く事が出来なかっただろう。
でも………
「瞳ーーーッ! かっこいい!!」
「瞳ちゃんの料理は最高よ!」
「やれるぞ、綾瀬!」
収録前にそう応援の言葉を観客席から叫んでくれた愛ちゃんとかれんちゃん、藤咲君。
そして何よりーーーー
"心からお前の作る料理を誇らしく、そして尊敬している"
"ちゃんとみてる"
収録前にそう言ってくれた巧が………観客席からちゃんと見える。
そして、巧を見る度にその言葉を何度も思い出して勇気がでてくる。
「次はエントリーナンバー10番!綾瀬 瞳さんですね? 綾瀬さん! 今回、どのような思いを込めて料理をしますか?」
いつのまにか、司会のアナウンサーが私に話しかけてきた。
どのような………思い。
それはーーーー
「………いつも通りに、食べる人の事を考えた料理を作ります。食べる人の身体に優しさを………そして、温かさを。 そして何より色々皆さん、大変な毎日ですが………私の料理を食べる時はリラックスして食べる幸せというものを少しでも感じてもらえたらなといつも思って作っていました。 そんな料理を今日も作ります」