禁域―秘密の愛―【完】


「っ、私………」



言葉が………でない。


こんなにも桐谷君の事が好きなのに………。

いざとなったら、桐谷君の反応が怖くて何も言えないなんて………。

「綾瀬………?あ………」

その時、また桐谷君のスマートフォンから着信音が聞こえる。

さっきから一体、誰からなんだろう………。

「ったく………。うるさい」

桐谷君は、着信音を無視し続けるがそれでも、なお鳴り続ける。

「………悪い。ちょっと」

桐谷君はそう言うと、ベンチを立つ。
私はなんだか安心していた。

どんな言葉を紡げばいいのかわからなかったから。

「………だから、それはケイシ兄さんの役目じゃなかったのか?
何度も言うが今更、そんなことを言われても困る。
………俺は、その気はない」

その時、桐谷君の怒りに満ちた声が聞こえた。

桐谷君、なんだか………様子が変だ。

「はあ………。分かった。だから、家帰るまでこれ以上、電話かけてくるなよ………」

桐谷君は、話し終わるとベンチに戻ってきた。

その表情は、さっきと一見変わらないように見えるけれど、どこかおかしい。











< 68 / 714 >

この作品をシェア

pagetop