禁域―秘密の愛―【完】
「っ、私………」
言葉が………でない。
こんなにも桐谷君の事が好きなのに………。
いざとなったら、桐谷君の反応が怖くて何も言えないなんて………。
「綾瀬………?あ………」
その時、また桐谷君のスマートフォンから着信音が聞こえる。
さっきから一体、誰からなんだろう………。
「ったく………。うるさい」
桐谷君は、着信音を無視し続けるがそれでも、なお鳴り続ける。
「………悪い。ちょっと」
桐谷君はそう言うと、ベンチを立つ。
私はなんだか安心していた。
どんな言葉を紡げばいいのかわからなかったから。
「………だから、それはケイシ兄さんの役目じゃなかったのか?
何度も言うが今更、そんなことを言われても困る。
………俺は、その気はない」
その時、桐谷君の怒りに満ちた声が聞こえた。
桐谷君、なんだか………様子が変だ。
「はあ………。分かった。だから、家帰るまでこれ以上、電話かけてくるなよ………」
桐谷君は、話し終わるとベンチに戻ってきた。
その表情は、さっきと一見変わらないように見えるけれど、どこかおかしい。