禁域―秘密の愛―【完】
「………そして、今回あなたに審査員特別賞を与えた理由ですが」
「はい」
「それは、あなたが………料理に対する信念をそっくりそのまま、ご自分の料理に現していたからです」
「私の、信念………?」
「あなたは、こう仰いましたね? 食べる方の事を思う料理をすると。
………それを口に出すのは、簡単なんですよ。しかし、それを実際に調理の技術で表すとなるととても難しい。
殆どの方はどこかで必ず、 ヌケがでてきます。それは調味料の選び方だったり、調理法だったり人それぞれですが」
「………はい」
「でも………あなたは、違いました。材料もスーパーで買えるけれど、きちんと状態の良い新鮮な食材を準備し、調味料も添加物が入っていない真に良いものを使っていた。
更に、 料理の仕方も薬膳の知識をフル活用し最初から最後までまるでヌケが無かった。
今回、試食するのは私達審査員ですね。テーマは和食ですが嗜好も、体調の状態もバラバラな私達に合う料理は、今回のような和を意識しながらも具材も多くバランスの良い食事が取れ、更に万人に愛されるパエリアのような料理でしょう」
そこまで話すと、審査員長は私に微笑んだ。
「………きっと、あなたはいつもこんな風に最初の材料選びから最後の調理の仕上げまで食べる人の事の健康状態、置かれた状況それらを全て把握し最大限に満足感を得られる料理を心がけているのだと直ぐに分かりました。
それは、あなたしかない………大きな料理の才能ですよ」