禁域―秘密の愛―【完】
「ごめんね………」
かれんちゃんは、何もそれに答えなかった。
当然だと思った。
かれんちゃんにとっては、思いもよらないような答えが返ってきたのだろうから。
「………それなら、仕方ないよ」
けれど、かれんちゃんは、しばらくの沈黙の後、私の目を見て笑った。
「かれんちゃん………」
どうやら、わかってくれたみたいだ………。
そう思うと、私は安堵の息をついた。
「好きな気持ちは、誰にも止められないから。………だから、瞳ちゃんの言ったことは当然だと思う。ちょっと残念だけど………」
「っ、ごめんなさい………」
「………平気よ?瞳ちゃんが気にすることはない」
なおも、笑顔を崩さず私にそう言うかれんちゃん。
私は、彼女の心の広さに脱帽するした。
私なら恋のライバルを前にして、絶対にこんな風に明るく振る舞えないよ。
「ありがとう………」
ーーーその時だった
「………かれん、ここにいたか」
男性と思わしき低い声が聞こえた。
「蓮!どうしたの?」
振り向くと、1人の男の子が立っていた。
170センチ以上はある身長に、焦茶色の短髪。桐谷君ほどではないが、整った顔立ちをしている。
しかし全体的に、桐谷君同様、クールな印象だった。