禁域―秘密の愛―【完】
「保健室にいなかったから、探しにきたんだ」
そうかれんちゃんに言うと、"レン"と呼ばれた彼は私を見る。
なんだか………、凄く見られてる?
「今日は気分がいいから、友達と散歩していたの。ごめん、心配かけて」
「か、かれんちゃん。その人は?」
どうしても視線が気になった私は、そう尋ねた。
「そうね、紹介しなきゃ。彼は、藤咲 蓮(ふじさき れん)よ。私達と同い年。
私がいつもお世話になってるお医者さまの息子さんで、幼なじみ。
普通科にいるの。だから、あまり面識はないかもね」
「藤咲です。………よろしく。綾瀬 瞳さん」
「え?」
どうして私の名前を、と言いかけた時にかれんちゃんが口を開いた。
「よく蓮には、瞳ちゃんのこと話してたの」
「あ、そうだったんだ………」
ビ、………ビックリした。
視線が痛いのもあり、知らないうちに藤咲君に何かしたかと思った。
ーーーけれど、やっぱり。それでもなんだか。
「………綾瀬さん? 何か?」
「え?なっ、なにもっ………」
なんだか………この人、怖い。