禁域―秘密の愛―【完】
文句をブツブツ言いながらも、地下鉄に乗り、何とか最寄り駅に着いた。
そして帰路につくため、気を引き締めて歩こうとした。
ーーーでも、駄目だ。
雨が止む気配なんて………まったくない。むしろ、雨脚は酷くなる一方だった。
「これじゃ、折り畳み傘だとあっという間に濡れちゃうよ………」
「………どうしようかね」
うん、そう。どうしよう………って
「え?」
いつの間にそこにいたのか、隣に1人のおばあさんがいた。
杖をつき、重たそうな買い物袋を持っている。
小柄な身体つきで、荷物を持っているせいか、かなり焦心しきっていた。
大変そうだな………。
何かできないかな?
同じ年代くらいの祖母がいる私は、いつも彼女が足腰が痛いだの、辛いだの言っているのを見ていた。
なので、他人事とは思えなかった。
そしてその時、私は良い事を思い出した。
「あっ!」
私、折り畳み傘持ってる!
「あ、あのっ!すみませんっ」
「ーーーえ?」
いきなり名前も知らない高校生に声をかけられたのが意外だったのか、おばあさんはポカンと口をあけていた。