禁域―秘密の愛―【完】
「瞳ちゃん。私、もう行かないといけないみたい。残念だけど………」
「そっか………」
「ねえ、瞳ちゃん」
「………ん?」
「桐谷君のこと、確かに驚いたけれど………、私ね恋愛の一つや二つで瞳ちゃんと気まずくなりたくないの」
「かれんちゃん………」
かれんちゃんは、本当にいい子だ。私は、彼女のことを傷付けたはずなのに。
それでもなお、こうして私と付き合いたいと言ってくれる。
私はこの時、本当にかれんちゃんを大切にしようと思った。
「ううんっ……….。私こそごめんね。勝手なことばっかり言って………」
「………いいのよ。そんなに悲しそうな顔をしないで?」
かれんちゃんは、そう言うと笑った。
「じゃあ、またね」
「………うん」
私は、かれんちゃんの後ろ姿が見えなくなるまで見送った。
それと同時に………、強く感じた。
私はもう後戻りできない。
桐谷君を好きな気持ちは何にも変えられない。
だから………
桐谷君にきちんと想いを、伝えなきゃということを。