禁域―秘密の愛―【完】



そして数日後ーーー、事件は起きた。

「瞳ちゃん、はい」

「わあ!」

私は、桐谷君のおばあさん家にお邪魔していた。
目の前にあるのは冷えた緑茶と、芋ようかん。

「美味しそう!おばあちゃん、どこで買ったの?」

「これは、ちょっと遠出してね。ある夫婦が経営してる小さな和菓子屋で買ったんだ。ひとつひとつ本当に丁寧に作られていてね。味は確かだよ。
瞳ちゃんが来るから、美味しいものをって思ってね。買ってきたんだ」

「ありがとう、おばあちゃん………」

私は、おばあちゃんの心遣いに感謝しながら、芋ようかんを一口食べた。

芋の甘さがとても際立っていて、凄く美味しい。

「………今日も巧は、桐谷の家なのかい?」

不意におばあちゃんは、桐谷君のことを聞いてきた。

「はい………。そうみたいです」

おばあちゃんが、気にするのも無理はなかった。
ここのところ、桐谷君は、実家のことで忙しいらしく、学校にもろくに登校していなかった。
もちろん、おばあちゃん家にも来ていない。


一体、どうしたんだろう………?

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