禁域―秘密の愛―【完】
おばあさんは、まるで懇願するように私の目を見つめていた。
桐谷君を大切に思う気持ちが、すごく伝わってくる。
ーーーずっと桐谷君の傍にいる。
そんなこと………
「当たり前ですっ………!ずっと桐谷君の傍にいます………!それは、私も望んでる事だから………」
「瞳ちゃん………。ありがとう」
おばあさんは、そう言って安堵の表情を浮かべた。
桐谷君………。こんなにも、あなたのことを心配してくれる人がいるよ?
だから………早くおばあちゃんと私のところに帰ってきて?
傍に来て、その綺麗で優しい笑顔を見せてーーー。
ーーーその時だった。
部屋に、スマートフォンの着信音が鳴り響いた。
【柴咲 かれん】
ディスプレイにはそう表示されていた。
かれんちゃんから電話がくるのは珍しいと思いながらも、通話ボタンを押した。
「かれんちゃん?」
『瞳ちゃん!』
電話越しの彼女の声はどこか焦っていた。