禁域―秘密の愛―【完】
「なっ………!」
その時ーーー、バンッと音がした。
見ると、桐谷君はかれんちゃんの顔スレスレの壁を平手で叩いていた。
「っ………!」
かれんちゃんは、その迫力に圧倒され腰を抜かし、床に座り込んだ。
桐谷君の目は………、私が今までに見たことがないほどに鋭く光っていた。
「俺は………、綾瀬を傷付け続けたお前を許さない。今、ここでお前を殴り倒してもいいんだよ………。
それとも、柴咲。俺がさっきの光景をスマホに収めた理由、わかるだろ?
さっきのアレを、警察に突き出せばお前らは共に犯罪者だ。
さあ、どうする?選択肢を二つも用意したんだ。それだけでもありがたく思うんだな」
「あっ………、わ、私っ………」
あまりの桐谷君の迫力に震え出すかれんちゃん。そして、とうとう泣き出してしまった。
「泣いても無駄だっ!お前はそれだけのことをしたんだよ!今更、許されると思うな!!」
桐谷君の怒鳴り声が響き渡る。
それを聞いて、ますますかれんちゃんは泣き出し、こう言った。
「どうして………!?私は、ただ桐谷君が好きなだけだったのにっ………」