禁域―秘密の愛―【完】
その言葉を聞いて、私はハッと気が付いた。
「そう、だよ………」
かれんちゃんは………、ただ桐谷君のことが好きだっただけ。
私と同じように、何があっても桐谷君を想う気持ちが強かっただけなんだ………。
「………そんなの、綾瀬を傷付けていい理由にはならないだろ」
「っ、待って、桐谷くーーー」
ーーーその時だった。
「お前が悪いんだろ!!桐谷!!」
「蓮………!?」
「藤咲君………!?」
大声で桐谷君に怒鳴ったのは、顔を殴られ、ボロボロになりながらも………桐谷君をしっかりと鋭い目つきで睨みつけている藤咲君だった。
「蓮!なんで立ってるのよ!怪我してるでしょ!?」
そんな、藤咲君を止めるかれんちゃん。
しかし藤咲君は、依然として立ち上がり桐谷君を睨みつけるのを止めなかった。
「………何だって?」
「桐谷。お前が………、お前だけが。かれんを幸せにできる唯一の男だったんだよ。
かれんは、昔から病院通いで友達も少なかった。
いつ何がどうなるかっていう不安な毎日を過ごしているかれんを俺はずっと見てきたんだ………。
だから、お前を見付けるまで、かれんには安らぎなんてなかった。
俺はかれんの救いになりたくて、ずっと傍にいたけど俺じゃ無理だった。
………お前だけが、かれんの唯一の救いだった」