禁域―秘密の愛―【完】
「なのに………、桐谷。お前は、そんなかれんの気持ちなんておかまい無しに、こんな女を選ぶなんて………ふざけるなよ!!」
「ーーーっ、蓮………!」
涙を流し、藤咲君を見つめるかれんちゃん。
ーーーそうか。そうだったんだ。
かれんちゃんには、元々信じられる人達がいなかった。
それに、体も弱くていつ死ぬかも分からない………。
そんな希望が見えない毎日の中で、かれんちゃんが見つけた唯一の救いが………桐谷君との恋だったんだ。
でも………
「………違うな」
「は………?」
「お前らのやり方は………、どんな理由をつけても、綾瀬を犠牲にすることを正当化なんてしない」
「何だって………?ッ、このッ………!!」
頭に血が上った、藤咲君が桐谷君に掴みかかろうとした……時。
「ーーーッ、蓮ッ!」
「なっ………!」
そんな2人の間に立ちはだかったのは………、かれんちゃんだった。
「蓮………」
そして、涙でぐちゃぐちゃになった顔なんておかまいなしに、藤咲君に抱きついた。
「蓮………いいよ。もう良いから………」