眠り姫はひだまりで【番外編】
今度は喜んではくれなくて、唇を噛んだまま、やっぱりぼろぼろと涙を零した。
「先輩、好きです」
震えた声で、そんなことを言う。
『あの頃の色葉』ではない、『町田ちよ』を見つめながら、僕は笑った。
*
それから、どうやらドア付近で隠れていたらしい柚木と、三人で帰った。
柚木が『お邪魔っぽかったから』なんて言って唇を尖らせるのを、町田さんと笑って聞いた。
…笑いながら僕は、ひとつの決心をした。
「町田さん」
次の日。
別館、一年三組の教室にて。
僕はそのドアの前で、名前を呼んだ。
バサバサバサ…と町田さんが机の上に教科書類を落とす。
…いや、なんだその反応。
次の授業の準備をしている他の一年生達は、僕を物珍しそうな目で見ていた。
「せっ…先輩っ!?」
慌ててやってきた町田さんは、僕の突然の訪問に目を輝かせていた。
…でも、ごめん。
君にとってはあんまり、いい用じゃ、ない。