眠り姫はひだまりで【番外編】


実際はもう、この子を見て色葉を思い出すことは、ほとんどない。

僕は色葉じゃない、『町田ちよ』を知ってしまったから。

…それでも。

色葉に似ていたから、町田さんのことを目で追っていた。

そんなやましい理由で接していたくせに、色葉のことを思い出さなくなったからって、町田さんのところへ行くなんて。

…そんなずるいこと、できない。


「………せん、ぱい」


震えた声が、頭上から聞こえる。

…ごめん、ごめん。

何度呟いても、足りないけど。

僕は頭を上げなかった。

「………っ」

視界に映る彼女の足が、階段へと向いた。

そして、僕の視界から消える。


… パタパタという、階段を駆け上がって行く音だけが、耳に届いた。






「…で?ちよちゃんこと、傷つけちゃったわけだぁ?」


昼休み、いつも通り柚木と別館の階段の踊り場で、弁当を食べる。


「……うん」


素直な返事をした僕に、柚木は眉を寄せた。



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