二番目の女。




「…お邪魔します」



『――どうぞ』



自分の本当の家に一度戻ってきた


その理由は、武に荷物の事を言われたから




じゃあ取りに行くと言ったら車を出してくれた



そして家の前に着くとに荷物を運ぶのを手伝うと言って付いてきてくれたのだ




一応、と言ってあの帽子をかぶせてくれた





それはあの時の帽子じゃなくて、武の帽子






彩海や修平さんがいたら顔の事を聞かれるだろうと思ってやってくれたのかもしれない







リビングのいつもの私の定位置に座らせてコーヒーを出した




『じゃあ、用意してくるから待ってて…急いで用意してくるから』


そうやって焦りながら言う私に、ゆっくりで大丈夫、と言って笑ってくれた




テレビのリモコンを無理やり渡して自分の部屋に入った



…何も変わらない、部屋







旅行用バックに入るだけ服と下着を詰め込んだ



1つじゃ入りきらないから3つのバックに入れた




この中に入ってるのを1通り全部使うまで帰らないつもりだから





ベットを見ると修平さんと愛し合ったのを思い出してしまう


それならば、武の優しさにすがるだけしかないかもしれない




――なんて、思ってしまったから
< 163 / 179 >

この作品をシェア

pagetop