二番目の女。
裏を振り向かない私に、コツコツと彩海のヒールの音が此方に向かってくる
きっとその隣には修平さんもいるんだろう
帽子を深々と被ってる私に
「胡桃は車乗ってて」と耳元でささやき私の背中をゆっくり押した
ん、と頷いて私は黙ったまま車に乗り込んだ
「――え!?胡桃じゃないの?」
なんて彩海の言葉が聞こえたので
気になって少しだけ窓を開けた
「武…なんで胡桃ちゃんと?」
なんて修平さんは言うけど、もう貴方には関係ない事
「てか武っちと胡桃いつの間に…!?もう、修平紹介しなくていいとか言ってたのに紹介してたの!?も~う!」
フン、と怒ったフリをする彩海に戸惑いの声を漏らす修平さん
「ああ…そうだよ。俺胡桃ちゃんに一目ぼれしてさ」
『――ッ』
カァァァ、と顔が赤くなるのが分かる
「紹介してもらっちゃった!修平ありがとな?付き合う事になったから」
ペラペラと嘘を喋る武に聞こえないフリも大変だなあ、なんて思った
「――ふーん、そっか、おめでと、良くやったな」
なんて言う修平さんと
「えー!?おめでと!ダブルデート今度しよ!」
なんて楽しそうに話す彩海
「そうだね…彩海ちゃん。君の大事な妹さんしばらくお預かりします」
『――ッ』
もう、何…
「え!?胡桃が武っちの傍にいたいとか言い出したの?かな?ゴメンね?」
まあどちらかというとそれが正解だ
「――違うんだ。俺が胡桃ちゃんの傍にいたくて用意させた。しばらく家に置くから用事があったら俺か胡桃ちゃんに連絡してほしいな?胡桃ちゃん、今は眠いみたいで…また遊びに来るよ。そのダブルデートやら、楽しみにしてる。じゃあね、二人とも」
私を守る為にそんな嘘までついて、武は本当に優しい