危険なキス
「なんか……改めて、先生がいい加減な人だってのが分かりました」
「なんだそれ」
この1週間、この先生のことでずっと悩んでいたかと思うとそんな自分がバカらしくて、あたしはもう開き直るしかなかった。
あたしは大きくため息をつくと、鞄を手に取った。
「帰るんだ?」
「はい、もう用は済んだので」
「ふーん。……ん?お前それ……」
「え?」
ふいに突っ込まれて、あたしは先生の目線の先を見た。
それはあたしの手首で……
「あっ……」
あたしは思わず、そこを隠した。
そこにあるのは、先生が置いていった腕時計。